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本記事では、ロバート・キーガン (著) 「なぜ人と組織は変われないのか」について解説します。
Contents
「なぜ人と組織は変われないのか」の概要
まずは本書の概要について解説します。
この本を読んで得られること
こんな風に「変わりたいのに変われない」という悩みは個人でも組織でも必ずある悩みですよね。
本書では、そんな悩みを持つ方に向けて、
個人や組織が変われないのはなぜなのか
変わるためには何をすれば良いのか
がわかる内容になっています。
この本の結論
個人や組織が変われないのはなぜなのか、そして変わるためには何をすれば良いのか
このような疑問に対してこの本では、
人間の中に「変革をはばむ免疫機能」があることが原因
としています。
さらにこの本では「免疫マップ」というフレームワークを使用して「変革をはばむ免疫機能」の全体像を明らかにするアプローチを提案しています。
- 改善目標
- 阻害行動
- 裏の目標
- 強力な固定観念
一言で言うと4点目の「強力な固定観念」こそが変われない根本原因なのです。
この本では「実験」を行い、「強力な固定観念」の妥当性を検証することで「変われない」という課題を克服することができるとしており、具体的な「実験」の方法についても説明しています。
この本の著者
この本の著者はロバート・キーガンという方で、30年以上もこの分野での研究・執筆経験をされているそうです。
ロナルド・キーガン
ハーバード大学教育学大学院教授(成人学習・職業発達論)。30年あまりの研究・執筆活動を通じて、人が成人以降も心理面で成長し続けることは可能であり、現代社会のニーズにこたえるためにもそれが不可欠であるという認識を広めてきた。授与された名誉学位や賞は多数。
この本は、自己変革・組織改革というテーマにおいて必ず紹介される一冊です。
理論だけではなく、豊富な具体例を元に解説されているので実践のイメージが湧きやすいのですが、 ボリュームが多いので最初から最後まで読むと少しきついかもしれません。
目次を見て必要な箇所を重点的に読むのがおすすめです。
どんな人におすすめ?
この本は、こんな方におすすめします。
企業の経営者・管理職の方
自分や組織を変えたい方
誰かのコーチングをしている方
目次
この本の目次をご紹介します。全ての目次はamazonの「なか見!検索」機能で紹介されていますので、ご覧になりたい方はこちらからご覧ください。
■第1部 “変われない”本当の理由
第1章 人の知性に関する新事実
第2章 問題をあぶり出す免疫マップ
第3章 組織の「不安」に向き合う■第2部 変革に成功した人たち
第4章 さまざまな組織が抱える悩み――集団レベルの変革物語
第5章 なぜ部下に任せられないのか――個人レベルの変革物語①
第6章 自分を抑えることができるか――個人レベルの変革物語②
第7章 うまくコミュニケーションが取れないチーム■第3部 変革を実践するプロセス
第8章 変わるために必要な3つの要素
第9章 診断――「変われない原因」を突き止める
第10章 克服――新しい知性を手に入れる
第11章 組織を変える
終章 成長を促すリーダーシップ
本書のポイント3つ
その1:変わりたいのに変われないのは何故?
変わりたいのに変われないのは何故でしょうか?
その答えを得るには、「変革をはばむ免疫機能」について理解する必要があります。
例えば、「体重を減らしたい」のに減らせないという悩みを持っている方について考えてみます。
体重を減らしたいのに減らせないとすれば、それを阻害している要因はなんでしょうか?
人それぞれかもしれませんが、例えば「食べる量が多い」だとしましょう。
じゃあ「食べる量を減らす」ことが解決策でしょうか?
それができたら苦労しませんよね。
この阻害行動を行ってしまうのには、「裏の目標」があります。「裏の目標」は人それぞれですが、例としてこんな感じです。
退屈したくない。満たされない気持ちを味わいたくない
減量することに振り回されたたくない
不機嫌な気分を味わいたくない
阻害行動(食べる量が多い)を直接改善して自分を変えられるケースは少ないのです。
それは何故かというと、「裏の目標」を達成する免疫機能が働くからです。あなたも辞めたいのに辞められないという経験があるのではないでしょうか。
本当に変わるためには、この「裏の目標」まで掘り下げて考えることが大切なのです。
目標を阻害する行動を直接改善しようとしても、「裏の目標」による免疫機能が働いて結局変われない。
その2:「裏の目標」は「強力な固定観念」が支えている
では、「裏の目標」に対処するにはどうしたら良いのでしょうか。
本書では「裏の目標」は「強力な固定観念」に支えられているとしています。何故「強力」かというと、それは本人すら気付いておらず、事実と思い込んでいる可能性が高いからです。
例えば先ほどの例で見てみるとこのような「強力な固定観念」が想定されます。
裏の目標:退屈したくない。満たされない気持ちを味わいたくない
→強力な固定観念:食べていないと退屈するし、満たされない
裏の目標:減量することに振り回されたくない
→強力な固定観念:減量すると自分の自由がなくなる
裏の目標:不機嫌な気分を味わいたくない
→強力な固定観念:食べていないと不機嫌になる
この「強力な固定観念」を突き止めて検証することこそが、あなたの問題を解決することになります。
「裏の目標」は「強力な固定観念」が支えている。
その3:変わるための具体的な方法
「免疫マップ」の要素それぞれがどのようなものかお分かりいただけたでしょうか。
- 改善目標
- 阻害行動
- 裏の目標
- 強力な固定観念
ここからは、この「免疫マップ」を使った自分や組織を変えるための具体的なステップについて解説していきます。
Step1:改善目標の設定
最初のステップでは、改善目標を設定します。この最初のステップが一番重要です。
質の高い改善目標を設定するには、以下の3条件を満たす目標を設定するまで先に進まないことがポイントです。
・ 自分にとって重要であること
・ 周りの誰かにとっても重要であること
・ 目標達成のために主に自分自身の努力が必要であること
また周りの人たちの声を聞くことも有効です。
通常、このステップには数ヶ月かけるつもりで取り掛かる必要があるそうです。といっても週に30分くらいの時間を割くレベルで定期的に考える時間をとり、時間をかけて目標を設定するイメージです。
今回は、こんな人を例に解説してみます。
ここから「聞き上手になりたい」という改善目標をたてます。
- 改善目標 : 聞き上手になりたい
- 阻害行動
- 裏の目標
- 強力な固定観念
Step2:阻害行動
次のステップでは、改善目標を阻害している行動をリストアップします。
・ 率直にかく
・ 解決策は気にしない
・ 他の人に聞いてみる
今回の例でリストアップされる阻害行動はこんな感じになります。
- 改善目標 : 聞き上手になりたい
- 阻害行動 : 会話の途中で上の空になってしまう、すぐにスマホをいじり始める
- 裏の目標
- 強力な固定観念
Step3:裏の目標
阻害行動をリストアップしたら、その行動をとる理由となっている自分の中での「裏の目標」について考えます。
コツとしては、
阻害行動と反対の行動をとったときに感じる不安
を書いてみることです。
例で言えば、もし相手の話をきちんと聞いて、思ったことを伝えたとしたら何か不安を感じるでしょうか?
この時に感じる不愉快、恐怖、厄介、などの直接的な感情を探ると、そこから裏の目標が導き出されるはずです。
今回の例では、次のような「裏の目標」が出てきました。
- 改善目標 : 聞き上手になりたい
- 阻害行動 : 会話の途中で上の空になってしまう、すぐにスマホをいじり始める
- 裏の目標 : 相手の話を真剣に聞いて何かを述べたときに、小馬鹿にされて屈辱を味わいたくない。間抜けに見られたくない。
- 強力な固定観念
Step4:強力な固定概念
ここまで来たらあと一歩です。「裏の目標」を支えている「強力な固定概念」を探りましょう。
裏の目標を支える固定観念は何でしょうか?
それは、
あなたが正しいと信じてきていること
裏の目標の一つを必然的に生み出すもの
です。一体何が、あなたの「裏の目標」を生み出しているのか、じっくり考えてみてください。
今回の例では、次のような「強力な固定概念」にたどり着きました。
- 改善目標 : 聞き上手になりたい
- 阻害行動 : 会話の途中で上の空になってしまう、すぐにスマホをいじり始める
- 裏の目標 : 相手の話を真剣に聞いて何かを述べたときに、小馬鹿にされて屈辱を味わいたくない。間抜けに見られたくない。
- 強力な固定観念 : 相手が自分に同意する可能性は低い。自分が馬鹿にされたらその会話は好ましい結果を生み出さない。
Step5:検証
これが最後のステップですが、一番長いステップになるでしょう。
「強力な固定概念」に辿りついたらそれを検証するために「実験」を繰り返します。
いつもと違う行動を意図的にとって、どのような結果が生じるか実験する
行動が目的ではなく、結果から得られる情報を収集し、固定観念を肯定するなり、改訂するなりすることが目的
そして、実験には満たすべき条件が3つあります。
SM:安全(Safe)でささやか(Modest)。簡単で小規模。
A:実行可能(Actionable)1週間程度で行える。
RT:リサーチ(Research)、テスト(Test)の位置づけ。固定概念の妥当性を検証することが目的で実験すること自体が目的ではない。
実験は何度も繰り返す必要があります。うまくいかない場合もありますが、それを元に固定観念に対する理解を深めれば良いだけです。
また結果として、固定観念が正しいということもあります。でも大抵の場合はそれは限定された場面においてであって、その固定観念が通用しない場合もあることが多いはずです。
今回の例であれば、こんな実験が考えられます。
- 改善目標 : 聞き上手になりたい
- 阻害行動 : 会話の途中で上の空になってしまう、すぐにスマホをいじり始める
- 裏の目標 : 相手の話を真剣に聞いて何かを述べたときに、小馬鹿にされて屈辱を味わいたくない。間抜けに見られたくない。
- 強力な固定観念 : 相手が自分に同意する可能性は低い。自分が馬鹿にされたらその会話は好ましい結果を生み出さない。
- 実験 : 相手の話を真剣に聞いてみたり、自分の意見を言った時の相手の反応を見てみる
まずは実験を行ってみて、結果に応じて更に次の実験を考えましょう。
免疫マップを作って「強力な固定観念」を探り出し、それを検証するための「実験」を繰り返そう。
行動のすゝめ
本書で得られることから、どのような行動を起こすことができるでしょうか。
・ 自分の周囲の「変わりたいのに変われない」を探してみる
・ 免疫マップを作ってみる
・ 「強力な固定観念」を克服するための実験をする
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後にポイントをまとめておきます。
・ 変わりたくても変われないのは、人間の中に「変革をはばむ免疫機能」があることが原因
・ 変わるためには「免疫マップ」のフレームワークを活用して、免疫機能の全体像を明らかにする必要がある。
・「免疫マップ」を使って「強力な固定観念」を探り出したら、それを検証するための「実験」を繰り返すことで変化を起こすことができる。
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