こんな疑問を解決できる記事を書きました。
この記事では、ベテラン企画マンが社内で合意形成や意思決定を進めるための交渉・調整の進め方を解説します。筆者が実際に使っている裏技も公開します!
読み終えていただくと社内での交渉・調整が上手くいき、仕事をスムーズに進めることができるようになります。
この記事を書いた人
- 一部上場企業のベトナム駐在管理職。
- 転職経験2回。転職先で昇格・年収UP!
- 市場価値至上。会社に依存しない会社員。
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Contents
結論
最初に結論です。
- ブレない基準を持つ
- 事前に根回しをする
- 関係者を集めて最終合意
これらのポイントを気にしておけば、社内での合意形成は今よりもずっと上手くいくでしょう!
それでは解説していきます。
ブレない基準を持つ
様々な利害関係者がいる中で合意形成をするには、「ブレない基準を持つ」必要があります。
何故なら、全員を納得させるには誰が見てもその判断が公平でなければならないからです。
その為には、合意形成をするための基準や方針、優先順位をあらかじめ明確にしましょう。
これが無いと、行き当たりばったりの判断を強いられてしまい、誰もが納得する合意形成をすることはできません。
例えば、彼女と旅行先を選ぶ時を考えてみましょう。
いきなり伊東、北海道、ロンドン・・・とお互いが行きたい所を挙げ始めても一向に決まらないはずです。
それよりも、「日帰りで行ける国内の温泉」、「4、5泊で観光メインで行くヨーロッパ、予算は一人10万円」など行き先を選ぶ基準をあらかじめ決めておけば、行き先も決まりやすくなります。
仕事で合意形成をする際には、あなたが「ブレない基準」を持つことが大切です。
事前に根回しをする
根回しというと如何にも日本的な、姑息な手段のように思われるかもしれません。
ですが、利害関係者が多いほど根回しは必須です。
事前に根回しをしておかないと、いざ最終合意をしようという場で思わぬ反対意見が出たり、想定していないケースが発覚したりします。
ここでは、根回しの方法について解説していきます。
手順はたったの2つです。
- 相手を理解する
- 相手に納得してもらう
1. 相手を理解する
誰が抵抗勢力になりそうかは、事前にある程度わかると思います。
まずは抵抗勢力になりそうな人に対して1対1で話をしてみましょう。
まずは自分が何をしたいのか、背景も含めて説明しましょう。
そして、相手目線からそれがどういう影響を与えるか、特にデメリットについて自分が理解していることを話します。
これにより、自分が一方的に何かを押し付けようとしているのではなく、相手の立場を理解していることを示すことができます。
ここまで話したら恐らく相手は、自分の意見を話してくるでしょう。
抵抗勢力なので反対する理由を述べてくるはずです。また、想定していた以外のデメリットを挙げてくるかもしれません。
ここでは相手の意見を聞くことに集中し、決してこの場で相手を説得しようとしないでください。
この場で説得できるようであれば抵抗勢力ではありません。
相手の意見に理解を示すことに集中し、意見が尊重されていると感じさせましょう。
これにより相手の信頼を得ることが出来るので、この後相手の譲歩を引き出しやすくなります。
「相手を理解する」時のポイントをまとめておきます。
自分の目的・要求を明確にする
相手のメリット・デメリットについて自分の理解を説明する
相手の意見を聞くことに集中する
2. 相手に納得してもらう
相手の立場を理解することが出来たら、次にすることは相手のデメリットを解消することです。
相手はあなたが進めようとしていることに対して、何らかの不都合があるから抵抗しているはずです。
この不都合(=デメリット)が解消されれば、相手はあなたのしたいことに賛同してくれるはずですよね。
なのでまずは、相手のデメリットを解消、もしくは減らすことができる方策を探しましょう。
しかし多くの場合、一部の利害関係者には全体最適化の為にデメリットを呑んでもらう必要が生じます。
そういう時に一方的に、
頼むから受け入れてくれ
しょうがないじゃないか
と言ってしまうのは得策ではありません。
相手はあなたが自分のことを理解してくれていないと考えて、より抵抗するようになる可能性が高いです。
こんな時は、あなたが相手の立場を理解して必死にデメリットを解消しようとしていることを切に訴えましょう。(直接言うのではなく、行動で見せることが大事!)
少し姑息な手段かもしれませんが、以外と効果があります。
また他の関係者との合意形成が進んでいることを共有するのも効果があります。
自分だけが抵抗していると分かると大抵の人は怖気付き出します。
「相手に納得してもらう」時のポイントをまとめるとこんな感じです。
デメリットを完全に解消できなくても、少しでも減らす方策を考える
苦労して相手のデメリットを解消しようとしていることを示す
他の関係者との合意形成が進んでいることを共有する
最終合意の場を設ける
抵抗勢力を中心とした根回しが完了し、個別に合意の約束を取り付けたら
利害関係者を一堂に集めた最終合意の場
を設けましょう。
具体的には、全員を集めて会議を開催するのが良いでしょう。
会議のアジェンダには、以下を含めることがポイントです。
合意したい内容とその理由
合意内容に対する利害関係者のメリット・デメリット
利害関係者のデメリットへの対策
合意したい内容とその理由を論理的に説明するのは当然ですが、抵抗勢力に対する手当てとして特に大事なのが、
利害関係者のデメリットへの対策
を含めることです。
最悪の事態は抵抗勢力がこの場でネガティブな発言をして、合意形成ができなくなる事です。
こうならないように、今まで相手と話したことをきちんとあなたが理解していることを示すべく、相手のデメリットへの対策は必ず会議の中で言及しておきましょう。
筆者の経験上、大抵の場合は抵抗勢力は自分の事を理解してくれていると考え、その場はすんなり行きます。
会議後は、結果を必ず文書化しておき、関係者全員にメール等で共有しておくのも大切です。
ここまでしておけば抵抗勢力が後からちゃぶ台返しをしてくる可能性は限りなく低いと言えるでしょう。
強硬な抵抗勢力を抑えるための裏技
ここまで紹介した方法を使っても抵抗勢力を納得させられない場合もあるかと思います。
そんな時に使える裏技をいくつか紹介しておきます。
裏技① ドア・イン・ザ・フェイス
裏技として、ドア・イン・ザ・フェイスというテクニックを紹介しておきます。
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックとは、本命の要求を通すために、まず過大な要求を提示し、相手に断られたら小さな(本命の)要求を出す方法。人間心理を利用した交渉テクニックの1つ
ドア・イン・ザ・フェイスの語源は、顔だけでもドアの隙間から覗きこませようとするセールスマンの様を指しているそうです。
要は最初にとても受け入れられないような大きな要求をしておき、一方で落としどころとしての小さな要求を後から出すということです。
例えば、会社の生産部門にある商品の生産量を来月から2割増やして欲しい場合。
まず最初に4割増やして欲しいと頼みます。
当然ながら相手は難色を示すので、しばらく押し問答した後にあなたの要求を2割に下げます。
そうすると相手はあなたが譲歩してくれたと感じるので、自分も譲歩すべくあなたの要求を受け入れてくれやすくなります。(この効果は、返報性の法則とも呼びます。)
↓返報性の法則は、この本に詳しく解説してありますので読んでみて下さい。
裏技② 上位者にエスカレーション
あなたと抵抗勢力の上位者(上司など)を巻き込むのも手です。(ビジネスの世界ではよく「エスカレーションする」と言います。
ただし、この時気をつけたいのは
無邪気に上位者にトップダウンの意思決定を求めてはいけない
という事です。
これをしてしまうと、あなたに調整力が無いと評価されてしまう可能性があります。大抵、こういった判断を丸投げしてくる部下を上司は歓迎しません。
また仮に上位者がトップダウンの意思決定をしてくれたとしても、抵抗勢力にとっては押し付けられた決定となってしまいます。
ではどうするかというと、
まずは上位者へ状況報告をする形で巻き込む
ということです。
うまく上位者があなたの支持をしてくれるのであれば、抵抗勢力へのプレッシャーになります。
また抵抗勢力によって合意形成が進んでいないという状況が上位者に報告されていること自体もプレッシャーになります。
抵抗勢力が手強くても最後までお互いが合意できるラインを探り、上位者のトップダウンの意思決定を仰ぐことは最終手段とすべきです。
上位者をうまく利用しましょう。
裏技③ あえて炎上させる
これはかなりの裏技です。
いつも相手が論理的かつ冷静に対応してくれるとは限りません。
社内政治やメンツを気にして、感情的になったり、半ば嫌がらせで反対してくる人もいるでしょう。
まずはこういった理不尽な相手には、毅然と冷静に対応することが必要です。
が、それでも解決できない場合は腹を括って炎上させましょう。
炎上させる事で、周囲に問題が起きていることを認識させることが出来れば、それを解決するための利害関係者の介入を期待することができます。
具体的にはこんな感じの手段が取り得るでしょう。
相手とのメールにCCを入れまくって事を大きくする
こちらも折れない態度を見せて、持久戦に持ち込む
全体会議など大人数がいる場で進捗が出ていない旨を報告する
放置して問題が生じるのを待つ
この裏技はあなたの調整力の無さを露呈する可能性があるので、もろ刃の剣です。
どうしてもという時にだけ使うようにして下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後にもう一度ポイントを確認しましょう。
- ブレない基準を持つ
- 事前に根回しをする
- 関係者を集めて最終合意